第7章

病室は消毒液と循環空気の匂いがした。呼吸はもう落ち着いている。しばらくのあいだひとりだったが、それでよかった。

詩織は二十分ほど前に席を外した。「電話をしないと」とだけ言って、スマホと上着を持ち、詳しいことは何も告げずに出ていった。有希は向かっている。そう、二度も聞かされていた。

瑛太と千秋は一緒に来た。

縁側からここへ来るまでの間に、何か話をしたのだろう。二人の動きがわずかに噛み合っていない。言い争って、とりあえず今は脇に置くことで折り合いをつけた人間同士の、あの距離感だ。千秋は彼の一歩後ろ。午後ずっと見せていた、半歩前に出る自信は消えていた。

瑛太は私の具合を聞かなかった。車で来...

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