第7章

 高村莉央という女は、どうやら我慢というものを知らないらしい。

 会食の翌日、彼女はInstagramに一枚の写真をアップした。

 写っているのは左手。薬指にはカルティエの指輪が光り、背景には見覚えのあるアトリエの一角――代官山の成瀬のアトリエが写り込んでいた。

 キャプションはいかにも「匂わせ」な一文。

『Private Studio. 特別な空間、特別な人と。』

 その指輪は、去年私が欲しがっていたものの、高価すぎて諦めたモデルだ。当時、成瀬は「高すぎるし、コスパが悪い」と言っていた。

 高かったわけじゃない。私には着ける価値がないと言いたかったのね。

 怒りは湧かなかった...

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