第126章

廊下。

未来(ミライ)はあの息苦しい個室から抜け出し、ひんやりとした外気を肺の奥まで吸い込んだ。

張り詰めていた糸が切れた途端、頬の刺すような痛みが鮮明になり、疲労感が潮のように押し寄せてくる。

あの二人の前で無理やり保っていた虚勢は、もう跡形も残っていない。

彼女は頬に触れようと手を上げたが、痛みを恐れて「っ」と小さく息を吸い、そのまま手を下ろした。

「どういうことだ」

突如、前方から低く冷ややかな男の声が響いた。

未来は驚いて弾かれたように顔を上げた。

廊下の突き当たり、その角に蒼司(ソウジ)が立っていた。

黒のロングコートに身を包んだ、高く引き締まった身体。

その深...

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