第196章 口論

「叔父さん、そんなに慌てて……何かありましたか」

羽龍の声に感情の起伏はない。彼は万年筆のキャップをそっと被せ、落ち着き払った手つきで机に置いた。

明孝は冷えた声音のまま切り出す。

「この数日、どこに行ってた」

羽龍の眉間がほんのわずかに寄った。だがすぐにほどけ、口調は変わらない。

「隣の市で、政府主導のクローズド会議に出ていました。会期中は電波遮断で、携帯は電源を切る決まりです」

その説明を聞いて、明孝の顔色はわずかに持ち直した。とはいえ、眉間にこびりついた焦りは消えない。

彼は向かいの椅子を引いて腰を下ろし、身を乗り出す。声を潜めたぶん、切迫感だけが際立った。

「杏那が収...

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