第24章
彼女の声には、自分でも気づかないほどの緊張が滲んでいた。
蒼司は彼女が突然出てくるとは思わなかったらしく、ガーゼを替える手が止まった。だが、すぐに何事もなかったかのように作業を続け、平坦な声で言った。
「かすり傷だ。大したことはない」
彼は俯いており、その横顔の輪郭は寝室の柔らかな灯りに照らされ、いっそう彫り深く、冷ややかな硬質さを帯びていた。
片手での処置はただでさえ不便だ。ましてや利き手を怪我しているわけではないにせよ、片手だけで器用にこなすのは骨が折れるのだろう。額には玉のような汗が滲んでいた。
彼がサイドテーブルの綿棒に手を伸ばした時、傷口が引きつったのか、指先が震えた。
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