第60章

野次馬根性で集まっていた招待客たちは、暗黙の了解とばかりに散らばり、それぞれグラスを傾けては再び宴の喧騒へと溶け込んでいった。

先ほどの小競り合いなど、まるで取るに足らない余興に過ぎなかったかのように。

だが、羽龍と杏那にとっては、そうではなかった。

二人はその場に取り残され、行き交う人々から向けられる視線には、探るような色と隠しきれない侮蔑が混じっていた。

誰一人として、自ら進んで羽龍に話しかけようとはしない。

羽龍の顔色が曇る。社長に就任して以来、これほどの冷遇を受けるのは初めてのことだった。

隣に立つ杏那はさらに惨めだった。突き刺さる視線の一つ一つが針のように全身を苛み、居...

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