第63章

未来は重い頭を力任せに振った。視界の全てがねじれ、揺らめいている。

だが、入り口に立つ逆光のシルエットだけは、心臓が震えるほどに見覚えがあった。

蒼司だ。

でも、なぜ立っている?

きっと幻覚だ。もう限界だから、不都合な現実から逃避して、ありもしない幻を見ているに違いない。

頬を伝う涙は、焼けるように熱い。

心の奥底で、誰かが絶望的な悲鳴を上げていた——

もしも。

もしも本当に、今この瞬間に蒼司が来てくれたなら、どんなにいいだろう。

けれど、そんなことはあり得ない。彼は会議中のはずだし、あの足で、こうして五体満足に立っていられるはずがないのだ。

未来が絶望に飲み込まれそうに...

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