第68章

都心の一等地に佇む高級マンションの一室。

情事の後のむせ返るような甘い気配が、空気の中にまだ漂っていた。

杏那は羽龍の白いワイシャツを一枚、だらしなく羽織っているだけだった。シャツの裾は太腿の付け根を辛うじて隠しているのみで、そこからはすらりと伸びた美脚が露わになっている。

彼女は背後から羽龍の腰に手を回し、その広い背中に頬を親愛の情たっぷりに擦り寄せた。

「羽龍、昨日あんなことしたのに、本当に一緒に住んじゃだめなの?」

その声はとろけるように甘く、また気づくか気づかないかといった程度の微かな拗ねを含んでいた。

羽龍の体が、一瞬だけ微かに強張った。彼は眉をひそめ、彼女の腕を解こう...

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