第75章

市街の中心部、瀟洒な佇まいのレストラン。その一室にある個室にて。

栗斗と安良波はすでに到着しており、未来と蒼司が来るのを今か今かと待っていた。

廊下から足音が近づいてくるのが聞こえる。ずっと心ここにあらずといった様子だった安良波の目に、驚きと喜びの色が宿った。彼女は弾かれたように椅子から立ち上がり、早足でドアへと向かう。

「未来たちが来たのかしら?」

ドアノブが静かに回り、「ガチャリ」という音と共に、個室のドアが外から押し開けられた。

安良波の顔に浮かびかけていた満面の笑みは、完全に咲き誇る前に凍りつき、口元で引きつった。

入り口に立っていたのは、彼女が待ち焦がれていた娘夫婦では...

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