第10章

刹那、病室の温度が氷点下まで落ちたかのようだった。

藤原創の視線が江原幸子と医師へ落ちる。

殺す気かと錯覚するほど、冷たい目。

「創! 誤解しないで! 全部こいつに脅されたの!」

江原幸子は慌てて身を起こし、乱れたスカートを直してから、藤原創のそばへすり寄った。目には動揺があふれていたが、頬を伝う涙がうまくそれを隠してしまう。

医師は腰が抜け、ズボンを上げる暇もなく、どさりと膝をついた。

「藤原さん! わ、私は……やむを得ず、なんです……!」

ベッドに座ってその茶番を眺める江原朱美には、笑う力すら残っていなかった。

まるで他人事のように、静かに三人を見ている。

――さて、次...

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