私は一度死んだふりをした——今は彼の方から私に頼んできた

私は一度死んだふりをした——今は彼の方から私に頼んできた

桐島遥希 · 連載中 · 327.7k 文字

659
トレンド
2.5k
閲覧数
48
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

彼女が目覚めたとき、裸のまま鳥籠に縛られ、見世物にされていた。

彼女の夫は最前列に座り、見知らぬ者たちが彼女の腹の中のまだ生まれぬ息子の臓器を競り落とすのを見ていた。彼はあの動画を信じた。DNA鑑定の結果を信じた。あの女の嘘を信じた。

彼らは彼女の子供を奪った。母親を奪った。そして、彼女の正気さえも奪おうとした。

だから、彼女はわざと壊れたふりをした。電気ショックを受けながらも、微笑み続けた。拷問で腰は曲がり背は丸まっても、決して屈しなかった。彼女は自分の命を奪うはずだったあの手術までの時間を、静かに数えていた。

しかし、彼女が数えていたのは自分の死ではない。

彼女が数えていたのは、彼らの死だった。

彼らは彼女の心臓が欲しいのか?

ならばくれてやろう——まだ脈打つその心臓を。そのとき、彼女は彼らの裁判官となり、陪審員となり、処刑人となる。


コンテンツ警告:非同意性行為、残虐な暴力描写、流産、監禁。閲覧にはご注意ください。

チャプター 1

腹の底をずしりと引き下ろす痛みに、江原朱美は目を覚ました。

反射的に床から起き上がろうとする。だが、身体がまるで動かない。

そこでようやく気づいた。

自分が全裸のまま、縛り上げられていることに。

しかも――思わず奥歯を噛みしめる。

それは、あまりにも屈辱的で、あまりにも淫らな姿勢だった。

両手は背中で麻縄に縛られ、乳首にはクリップ。脚は無理やり大きく開かれ、M字に固定されている。秘部はそのまま、空気の中へさらされていた。

冷えた空気が陰唇のあいだを撫でていくのがわかる。ぞくり、と震えが走る。

縄から手を引き抜こうともがいた。けれど、びくともしない。

結局、淫らな格好のまま周囲をうかがうしかなかった。

目の前は闇。黒いビロードのような布が四方に垂れ、光をすべて遮っているらしい。

そのときだ。

いくつもの足音が近づいてきた。続いて、誰かの話し声――笑い声まで混じっている。

次いで、鼻をつく異臭。

腐敗、汗、酒に酔ったような甘ったるさ……何が混ざっているのか、言葉にできない。ただ、吐き気だけがこみ上げる。けれど胃は空っぽで、吐きたくても吐けなかった。

ここはどこ?

どうして、こんなことに……?

藤原創は?

彼が差し出した牛乳を飲んだところまでは、はっきり覚えているのに――。

思考がまとまる前に、幕がばさりと開かれた。

突然の光に、江原朱美は思わず目を閉じる。

「うっわ、やべえ……綺麗すぎるだろ。このマンコ、形だけなら俺が見た中で一番だわ」

「しかも妊婦かよ。弄ったら最高にヤバそうだな」

……。

下卑た言葉だった。

怒りで全身がわなわなと震える。

この淫らな姿を、もう大勢に見られている。

絶望が喉を締めつけた。どうしてこんなことに? 藤原創はどこに――。

ようやく目が光に慣れ、ゆっくりとまぶたを開く。

最初に目へ飛び込んできたのは――夫、藤原創だった。

仕立てのいいスーツを隙なく着こなした男が、椅子に腰かけている。整った顔立ちは凍りついたように冷たく、こちらへ向ける視線はそれ以上に冷え切っていた。

その隣にも、背後にも、さまざまな男たち。

彼らの目には欲望と侮蔑がべったりと張りついている。

視界の端で、ようやく状況がつながった。

巨大な鳥籠。

自分はその中へ閉じ込められ、展示台の上に置かれている。しかも秘部がそのまま客席へ向くように。

夫は、その客席のど真ん中。

冷たい目で、ただ見下ろしていた。

――ここは、競売会場。

そう理解した瞬間、心が音を立てて崩れた。

藤原創の口元が、薄く歪む。

「目が覚めたか?」

声が震えた。

「藤原創……何をしてるの……私、あなたの子を……もう9か月なのよ……臨月なのに……!」

「腹に子がいる自覚はあるんだな」

藤原創は鼻で笑い、氷のような声で言い放つ。

「江原朱美。6人だか7人だか知らねえ男に股がって、雌犬みてえに『もっと』って腰振ってたときは、腹の子のことなんか一度でも考えたか?」

「違う! してない!」

信じられなかった。藤原創が、こんな言葉で自分を貶めるなんて。しかも、そんなことは一度だってしていない。

否定の声を待っていたかのように、藤原創は手元のリモコンを押した。

次の瞬間。

女の喘ぎ声が、会場いっぱいに響き渡る。

競売品を映し出す巨大スクリーンに、映像が流れた。

そこにいたのは、裸で、這うように跪き、膨らんだ腹をベッドへ押しつけた女。背後から太い男根が膣に出入りし、女は喉を反らし、口にも別の男根を咥えさせられている。頭を抱え込まれたまま腰を打ち込まれ、妊娠で張った乳房は別の男たちに弄ばれ、その上には乳交のあとらしい精液がこびりついていた。さらに、別の手が肛門へ指を差し込み、掻き回している。

顔にも、身体にも、体内にも、男の精がべったり。

淫らで、狂っていて、悪夢そのものだった。

江原朱美は目を見開いた。声が出ない。

「……違う……私じゃない……偽造よ……罠よ……江原幸子が――」

「また罠か?」

藤原創はぴしゃりと遮った。

「9か月前、俺のベッドに潜り込んだときも『薬を盛られた』って言ったな。お前のスマホからこの動画が出てきたときも『幸子が捏造した』って言った」

「江原朱美。お前のスマホから出たんだ。お前が気持ちよくなって、記念に撮らせた以外に、誰が撮れる?」

会場の男たちがどっと笑う。

「膣に入れてる奴、短すぎだろ。俺ならイかせすぎて白目剥かせるぜ」

そんな下卑た品定めまで飛び交った。

胸が痛くて、息ができない。

そうだ。彼が私を信じるはずがない。幼いころから寄り添い、何度も彼を救ってきた江原幸子が、実は腹の底まで黒い女だなんて、信じるはずがない。

「違う……本当に、はめられたの……あの夜も、薬を……」

力なく、同じ言葉を繰り返す。

この9か月、何度も、何度も言った。

けれど藤原創は一度たりとも信じなかった。

今も同じだ。

その顔には、あからさまな嫌悪すら浮かんでいる。

「はめられた? 藤原玄哉が記者を連れて、あんな都合よく現れて『お前が俺に犯された』って騒いだのも、はめられたって言うのか?」

「江原朱美。お前、よっぽどその婚約者が好きなんだな。助けたくて、自分から尻振って、雌犬みてえに俺に『抱いて』って懇願したんだろ」

「黙って!!」

ついに江原朱美は崩れ落ち、涙が頬を伝った。

藤原創は冷笑し、傍らの人間へ短く命じる。

ほどなくして、白衣の医師が3人、医療鞄を提げて入ってきた。後ろには助産師も続いている。

「何をするつもり!?」

悲鳴のように声が裏返る。

藤原創は冷淡に言った。

「遊ぶのが好きなら、腹に子がいるのは邪魔だろ」

そして医師たちへ視線を向ける。

「始めろ。麻酔は使うな。薬効が落ちる。幸子は待てない」

医師が一瞬ためらった。

「藤原さん……奥様は胎位がよくありません。このまま麻酔なしでは、持たない恐れが……」

「死にゃしない」

藤原創は切り捨てる。

「さっさとやれ。客が待ってる」

話しているあいだにも、腹の痛みは限界を超えていた。

もう藤原創の言葉をまともに追えない。耳に残るのは「麻酔なし」「江原幸子」「客」――その断片だけ。

私が子どもを産むことと、客に何の関係があるの?

激しい陣痛が、思考を奪っていく。

腹の中へ誰かが手を突っ込み、好き勝手に掻き回しているようだった。

もがくたび、縄が肉へ深く食い込む。

だがそんな痛み、陣痛に比べれば無に等しい。

――出てくる。

赤ん坊が、腹の中から。

身体が裂ける。

二つに引き裂かれるような痛みに叫び続け、最後には喉が裂けたみたいに声が掠れた。

「頭が出ました!」

助産師の声が飛ぶ。

「奥様! 力んで、もっと!」

さらに強烈な波。

また身体が裂ける――そしてはっきりと、子どもが身体の外へ抜けたのがわかった。

最後の力を振り絞り、獣のような声を絞り出す。

「オギャアッ」

産声。

「男の子です」

江原朱美は虚ろな目でそれを見た。

藤原創の顔は、嫌悪で歪んでいる。

「先に薬を幸子のところへ運べ」

意味がわからない。

江原朱美は必死に手を伸ばし、彼のズボンの裾を掴もうとした。

「藤原創……薬って、何……?」

藤原創の口角が、残忍に吊り上がる。

「江原朱美。俺がこのガキを産ませたのが、愛だとでも思ったか?」

「幸子は身体が弱い。生まれたての赤ん坊の心臓が、薬引きに必要なんだ」

「それがなきゃ、とっくにお前も藤原玄哉もまとめて地獄で再会させてた」

「だが安心しろ。この私生児を欲しがる連中は多い。今日の競売は――こいつのために用意した」

最新チャプター

おすすめ 😍

家族の縁を切った日、兄たちはすべてを失った

家族の縁を切った日、兄たちはすべてを失った

667.7k 閲覧数 · 連載中 · 風見リン
前の人生で両親が交通事故で亡くなった後、長兄は世間体を気にして、事故を起こした運転手の娘を家に引き取った。
公平を期すという名目のもと、兄たちは彼女からリソースを根こそぎ奪い、その尊厳を踏みにじってまで、運転手の娘を支えた。
彼女は兄たちのためにすべてを捧げたというのに、家を追い出され、無残に死んだ。

生まれ変わった今、彼女は人助けの精神などかなぐり捨てた。許さない、和解しない。あなたたちはあなたたちで固まっていればいい。私は一人、輝くだけ。

兄たちは皆、彼女がただ意地を張っているだけだと思っていた。三日もすれば泣きついて戻ってくるだろうと高を括っていたのだ。
だが三日経ち、また三日経っても彼女は戻らない。兄たちは次第に焦り始めた。

長兄:「なぜ最近、こんなに体調が悪いんだ?」――彼女がもう滋養強壮剤を届けてくれないからだ。
次兄:「会社のファイアウォールは、なぜこうも問題ばかり起こす?」――彼女がメンテナンスに来なくなったからだ。
三兄:「新薬の開発が遅々として進まないのはなぜだ?」――彼女が治験をしなくなったからだ。
四兄:「どうしてこんなにつまらない脚本しか上がってこない?」――彼女がもう執筆しないからだ。
五兄:「この義肢は、なぜこんなに出来が悪いんだ?」――彼女が製作をやめたからだ。
六兄:「なぜチームが負けた?」――彼女が脱退したからだ。

兄たちは地に膝をついて許しを請うた。「戻ってきてくれ。俺たちこそが、血を分けた本当の家族じゃないか」

彼女は絶縁状を兄たちの顔に叩きつけ、冷ややかに笑った。
「車が壁にぶつかってから、ようやくハンドルを切ることを覚えたのね。株が上がってから、ようやく買うことを覚え、罪を犯して判決が下ってから、ようやく悔い改めることを覚えた。残念だけど、私は――許さない!」
死に戻り真令嬢の復讐 ~偽りの家族も血の兄も要りません

死に戻り真令嬢の復讐 ~偽りの家族も血の兄も要りません

21.7k 閲覧数 · 連載中 ·
前世の橘結衣は、兄たちに尽くし続けた。どんな理不尽にも耐え、健気に笑顔を向け続けた結衣を待っていたのは――お披露目パーティーでの無残な死だった。

破滅を経て死に戻った結衣は、人が変わったように冷徹になる。もう二度と、あの愚かな兄たちのために心を痛めたりはしない。

しかし、冷遇し始めた途端、兄たちの態度が一変する。

「いい加減、そんな冷たい態度を取るな」と迫る社長の長男。

「俺の誤解だったんだ……」と苦悩する医師の次男。

「頼む、やり直させてくれ!」とプライドを捨てて乞うトップスターの三男。

「俺の妹はお前だけだ!」と泣きじゃくる不良の四男。

だが、結衣の答えはひとつだけ。

「みんな、失せて」

復讐と無関心を胸に、彼女は一人の男性の手を取った。

「宮本景太。今日からあなただけが、私のたった一人の『お兄ちゃん』よ」

――しかし、彼女の本当の身分が明かされた時、今度は血縁関係のある「実の兄たち」が押しかけてきて――!?

「『唯一の兄』だと……? じゃあ、俺たちはお前の何なんだ!?」
不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

3.3m 閲覧数 · 連載中 · 七海
初恋から結婚まで、片時も離れなかった私たち。
しかし結婚7年目、夫は秘書との不倫に溺れた。

私の誕生日に愛人と旅行に行き、結婚記念日にはあろうことか、私たちの寝室で彼女を抱いた夫。
心が壊れた私は、彼を騙して離婚届にサインをさせた。

「どうせ俺から離れられないだろう」
そう高をくくっていた夫の顔に、受理された離婚届を叩きつける。

「今この瞬間から、私の人生から消え失せて!」

初めて焦燥に駆られ、すがりついてくる夫。
その夜、鳴り止まない私のスマホに出たのは、新しい恋人の彼だった。

「知らないのか?」
受話器の向こうで、彼は低く笑った。
「良き元カレというのは、死人のように静かなものだよ?」

「彼女を出せ!」と激昂する元夫に、彼は冷たく言い放つ。

「それは無理だね」
私の寝顔に優しくキスを落としながら、彼は勝ち誇ったように告げた。
「彼女はクタクタになって、さっき眠ってしまったから」
本物令嬢の正体がばれました

本物令嬢の正体がばれました

166.2k 閲覧数 · 連載中 · ワニノコ
新谷南は新谷家で二十年も育てられたのに、本当の娘が戻ってきた途端、あっさり家を追い出された。

デザイン部のディレクターの席? 本当の娘へ。
何千万円もの価値がある婚約話? 本当の娘へ。

会社中の人間が、彼女という「野良扱いの娘」がどう転げ落ちていくか、笑いものにしようと様子をうかがっていた。

そんなある日、世界限定二十台の高級バイクが会社の前に止まる。降りてきた不良っぽいイケメンが言った。

「妹、兄貴と一緒に帰るぞ」

新谷家の人間「……は?」

そのあとで彼らはようやく知ることになる。

彼女こそ、国内外の美術館の館長たちが面会待ちの列を作る「南先生」と呼ばれるアーティストであり、
新谷グループの全受賞特許の名義人であり、
さらに、伝説の「国家並みの資産を持つ」と噂される周防家の、本当の長女だということを。

大手財閥の若き当主は、封印していた婚約書を取り出し、薄く唇を吊り上げる。

「なるほど。俺の本当の婚約者は、君だったわけか」
妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

527.6k 閲覧数 · 連載中 · 蛙坂下道
鈴木七海は、中村健に好きな人がいることをずっと知っていた。それでも、彼との結婚を選んだ。
しかし、結婚して5年後、彼は離婚を切り出した。その時初めて、彼の想い人が私の父の隠し子(私の異母兄弟)だと知った。
離婚を決意した七海だったが、その時にまさかの妊娠が判明した。
不倫夫を捨て、私は大富豪の妻になる

不倫夫を捨て、私は大富豪の妻になる

347.3k 閲覧数 · 連載中 · 七海
人生最良の日になるはずだった、結婚式当日。
新郎の車から出てきたのは、見知らぬ女の派手なレースの下着だった。

しかも、その布切れにはまだ。生々しい情事の痕跡が残されていた。

吐き気がするほどの裏切り。
幸せの絶頂から地獄へと突き落とされた私。

けれど、泣き寝入りなんてしてやらない。
私はその場でウェディングドレスの裾を翻し、決意した。

「こんな汚らわしい男は捨ててやる」

私が選んだ次の相手は、彼など足元にも及ばない世界的な億万長者で?
全能令嬢の帰還、家族が倒産?

全能令嬢の帰還、家族が倒産?

36.1k 閲覧数 · 連載中 · きりゅう りんか
万能の女神・夏川紅蓮が実家に戻ると、一家は何者かの手で破滅に追いやられた後だった。
父は冤罪で獄中にあり、母は病に伏せっている。
六人の兄たちも、ある者は身体に障がいを負い、ある者は無気力に沈んでいた。
そんな折、家に潜り込んでいた偽令嬢は状況を見るや否や一家を見捨てて姿を消し、さらに屋敷までも奪い取ろうとしていた。
世間は夏川家を「落ち目の負け犬」と嘲笑い、皆がこぞって踏みにじる。

紅蓮が静かに一声を発すれば、暗部より無数の異能の士たちが姿を現し、形勢は一瞬にして逆転する。
父は無実のまま出所し、母は健康を取り戻し、廃人同然だった長兄は再び己の足で歩き出し、残る五人の兄たちもまた紅蓮の導きによって各々の才覚を花開かせ、やがて各界を牽引する大物へと成り上がっていく。

しかし、そんな彼女を指さして嘲る者がいる。
「夏川紅蓮は地味で野暮ったい田舎者だ」と。

何を隠そう、彼女は無数の隠された顔を持つ存在。
神医の令嬢も彼女なら、国画の大家も彼女。
伝説のハッカーも彼女なら、正体不明の謎の女優も彼女。
そして、暗部を統べる首領さえも——彼女なのだ。

そんな折、頂点に君臨する名門の若様が、彼女をそっと腕のなかに抱き寄せた。

「誰が彼女を田舎くさい地味女だと言った? 彼女こそ、俺・諏訪淳行の婚約者だ」

紅蓮が流し目をひとつ送る。

「婚約、破棄しなくていいの?」

「しない」

彼が長いあいだ追い求めてきた決して手の届かない高嶺の花こそが、いま腕のなかにいる婚約者なのだ。
解消などありえない——この婚約は、死んでも解消しない。
追放された偽物の娘、その正体は最強でした

追放された偽物の娘、その正体は最強でした

804.1k 閲覧数 · 連載中 · ゲゲゲ
「本物の娘が見つかった。お前はもう用済みだ」
あの子が現れたその日、私は『偽物の娘』として家を追い出された。
渡されたのは、わずかな小銭と地方行きの片道切符だけ。
さらに婚約者は私をゴミのように捨て、その日のうちに『本物』であるあの子にプロポーズした。

……上等じゃない。せいぜい勝った気でいればいいわ。
だって彼らは、私の【本当の顔】を何一つ知らないのだから。

名門病院が見放した命を救う『天才外科医』。
オークションで数億円の値を叩き出す『伝説の画家』。
裏社会の闘技場で無敗を誇る『影の女王』。
そして――彼らの全財産すら小銭に思えるほどの『真の巨大財閥の後継者』であることを。

今さら元婚約者が土下座で許しを請おうと、本物の娘が嫉妬で狂いそうになろうと、もう遅い。
かつて私に婚約破棄の書類を叩きつけた冷酷で傲慢なCEOでさえ、今や何かに取り憑かれたように私を追い回し、「もう一度だけチャンスをくれ」とすがりついてくる始末。

私を捨てて、自分たちの人生を『アップグレード』したつもり?
笑わせないで。最初から、圧倒的に上の存在だったのは私のほうよ。
転生して絶縁したら、元家族は破滅に

転生して絶縁したら、元家族は破滅に

32.5k 閲覧数 · 連載中 · ワニノコ
名門古川家の生まれの娘・古川朱那は、前世、父・古川邦夫と三人の兄(礼和、礼希、礼人)が養妹・周防天華を無条件に贔屓し、天華の陰険な陥れに遭い、理不尽に死んだ。
22 歳、天華に陥れられた日に生まれ変わった朱那は、過去の卑屈さを捨て、天華の悪事を暴き、偏心な家族に毅然と立ち向かう。芸能界で演技の才能を開花させ、自らの人生を切り開くため、全力で逆襲する。
お払い箱の杖は、夜に咲く

お払い箱の杖は、夜に咲く

5.8k 閲覧数 · 連載中 · 森川澪
「目が見えるようになった途端、手すりの杖を捨てるのね」

事故で盲目かつ失聴した夫を5年間、溢れる愛で献身的に支え続けた主人公。しかし、五感が戻った夫が最初に抱きしめたのは、かつて彼が愛した初恋の女だった。

家族からも夫からも裏切られた彼女は、未练を一切捨てて離婚を決意。

離婚の理由に「夫の夜の体力不足」という最大の屈辱を書き残し、結婚指輪を捨ててあっさりと家を出る。

夫の好みに合わせてこれまで隠していた「息をのむほど明艶な美貌」を解放し、夜の街へと繰り出した彼女は、一瞬で全場の視線を独占する。

バーのVIP席からその圧倒的な美女を凝視し、なぜか目が離せなくなっている元夫は、まだ気づいていない。それが、自分が「地味で退屈な女」だと見下していた元妻の真の姿だということに……
溺愛令嬢の正体は、まさかの霊能界トップ!?

溺愛令嬢の正体は、まさかの霊能界トップ!?

317.1k 閲覧数 · 連載中 · 朝霧祈
原口家に取り違えられた本物のお嬢様・原田麻友は、ようやく本家の原田家に戻された。
──が、彼女は社交界に背を向け、「配信者」として自由気ままに活動を始める。
江城市の上流社会はこぞって彼女の失敗を待ち構えていた。
だが、待てど暮らせど笑い話は聞こえてこない。
代わりに、次々と大物たちが彼女の配信に押しかけてくるのだった。
「マスター、俺の命を救ってくれ!」──某財閥の若社長
「マスター、厄介な女運を断ち切って!」──人気俳優
「マスター、研究所の風水を見てほしい!」──天才科学者
そして、ひときわ怪しい声が囁く。
「……まゆ、俺の嫁だろ? ギュってさせろ。」
視聴者たち:「なんであの人だけ扱いが違うの!?」
原田麻友:「……私も知りたいわ。」
社長の可愛い若妻

社長の可愛い若妻

18.2k 閲覧数 · 連載中 · 月島 ことね
丸5年もの間、私はすべてを捧げて林翔太を深く愛してきた。しかし、私たちの記念パーティーの夜、彼が新入りの秘書とキスしている現場を目撃してしまう。その瞬間、私の恋の魔法は完全に解けた。

愛に絶望した私は、お互いの利益のための「契約結婚」に同意する。てっきり、悪名高いプレイボーイの蒼井翼と結婚するものだと思っていた。ところが、書類にサインする瞬間、婚姻届に書かれていた名前は――蒼井沢言。誰もがその名を聞くだけで震え上がり、「地獄の帝王」と恐れられる冷酷な巨大財閥のトップだった。

彼は私に数々の価値連根のジュエリーを贈り、私の敵をすべて排除し、世のあらゆる嵐から守ってくれた。けれど、「愛している」という言葉だけは、一度も口にしなかった。

しかしある夜、彼は私を壁に押し付け、熱い吐息を肌に吹きかけながら、低く掠れた声で囁いた。
「音羽、俺をいつまで待たせるつもりだ?」

――この結婚は、決して偶然などではなかった。最初からすべて、彼が仕組んだ「執念の計画」だったのだ。