第108章

江原明人が最初の短剣を手に取ったのと同時に、藤原玄哉も素早く壁をよじ登り、慌てて別の短剣を掴んだ。視線は、檻の中にいる二人へ釘付けのまま。

周囲の連中は息を殺し、三人の動きを静かに見守っている。

藤原創は煙草に火をつけ、薄い煙の向こうから値踏みするように眺めていた。

――いったい、誰が先に死ぬ?

江原幸子の手には武器がない。ほんの一瞬だけ逡巡し、それから江原明人へ、じり、じりと歩み寄った。

江原明人は目を剥き、手にした刃を振り回して明らかに制止しようとする。

時間だけが、刻々と進む。

それでも江原幸子は近づき続けた。目の前の刃など、まるで見えていないかのように。

淡々と、彼女...

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