第15章

江原幸子の顔に、気づかれないほど薄い冷笑が走った。勝者の余裕を貼りつけた表情。

以前なら、江原朱美はとっくに彼に縋っていた。これ以上、狂ったことをされるのが怖くて。

だが今回は違う。朱美は、ただ無感情に顔を背けた。病室の中で何が起きようと、自分には関係ない――そう言わんばかりに。

藤原創の口元がひくりと歪む。その態度が、胸の奥の火に油を注いだ。

彼は横の器具棚から止血鉗子を取り、朱美の手を掴む。次の瞬間、鉗子の先が、彼女の爪をがっちり挟んだ。

反応する暇すら与えず、藤原創はぐい、と力任せに引き剥がす。上へ、上へ――。

ぺりり、と嫌な音。

爪が、根元から、生きたままの肉ごと剥ぎ取...

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