第33章

中橋傑は、病床に横たわる女を見つめていた。

男として――情けないくらいに――目尻がじわりと滲む。

初めて江原朱美と出会った頃のことを、いまも覚えている。

江原家のお嬢様として大切に育てられた彼女は、笑顔が澄んでいて、瞳もまっすぐで、いつだって自信に満ちていた。まるで、誰の心だって温めてしまう小さな太陽みたいに。

けれど彼は海外で学び続け、自然と連絡も途切れた。

そして再会した先が――こんな、地獄みたいな光景だなんて。

朱美もようやく理解した。

宴会場で突然、誰かが自分のために声を上げたのは偶然じゃない。昔の友人が、ここまで来てくれたのだと。

だが、次の瞬間。何かを思い出した朱...

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