第35章

朱美は、また病室へ押し戻された。

一晩じゅう散々な目に遭ったというのに、何が起きたのかも分からない。ただ麻酔の残るだるさと、骨の髄まで染み込む疲労だけが身体に居座っていた。

次に目を覚ましたのは、翌朝。

瞼を上げた瞬間、ベッドの傍らに立つ幸子の姿が目に入る。

――今度は違った。

あの薄っぺらい優しさの仮面を、最初から剥ぎ取った顔。冷え切った目で朱美を見下ろしている。視線に刃があるなら、朱美はもう何度死んだか分からない。

「江原朱美! あんた、藤原創にどんな呪いをかけたの? 手術室まで押し込んだのに、どうして平気な顔で手術台を降りられるのよ。ほんと、やり方がうまいわね」

朱美は顔...

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