第38章

この女、自分の置かれた状況すら考えず、ひたすらあの男のために命乞いしてやがる……!

藤原創は鞭を握る手を小刻みに震わせた。次の瞬間、腕を振り抜く。

びしんっ。

革のしなりが空気を裂き、江原朱美の肌へ容赦なく叩きつけられた。

「ぐぁっ……っ!」

朱美の悲鳴が地下室に反響する。もう抵抗する力など残っていない。全身に赤黒い血の筋が走り、床へ転がったまま、それでも藤原創の脚にしがみついた。かすれた唇が、なおも同じ言葉を繰り返す。

「……中橋傑を……許して……。私、あの人とは……ほんとに、何も……」

それだけ。ひたすらそれだけ。

階段の方から、こつ、こつ、とヒールの音が降りてきた。江原...

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