第39章

「くそビッチ! 殺してやる!」

使用人の男が腕の傷口を押さえながら、江原朱美を憎悪の目で睨みつける。

――こいつ、完全に狂ってやがる。

もう一人が慌てて男の前に立ち、眉をひそめた。

「藤原さんから言われただろ。誰もこの女に近づくな」

男は舌打ちし、二人はそれ以上朱美に構わなくなった。

朱美は鉄扉の前にへたり込み、背を預けて座る。指を絡め、次の瞬間には髪をぐしゃぐしゃとかき乱し、しまいには頭を何度も扉へ打ちつけた。

感情が、崩壊寸前だった。

頭の中にあるのは、ただ一つ。

中橋傑は――どうなった。

彼は自分のために危険へ踏み込んだ。なのに今は生死すら分からない。

自分の命と...

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