第52章

その後の数日間、藤原玄哉は何度も書斎へ忍び込もうとした。だが、好機は一度も巡ってこない。

江原朱美の首には鎖が繋がれ、その先は藤原創の手に握られていた。

藤原創が書斎で仕事を捌くあいだ、江原朱美は犬みたいに床へ這いつくばり、彼の足元に伏せる。鎖の金具が、かすかに触れて鳴った。

一方、江原幸子は柔らかなベッドに横たわったまま、苛立ちに体を震わせていた。

書斎であの二人が――と考えるだけで、胸の奥がざらつく。時折、獣みたいに重なり合っているのだろう。想像が喉を焼き、さらに焦燥が募る。今すぐ江原朱美が死ねばいいのに、と本気で思った。

そのとき、スマホがぶるっと震える。

藤原玄哉からのメ...

ログインして続きを読む