第53章

「口を開けろっ!」

藤原玄哉は彼女の頬を乱暴につかみ、白い錠剤を無理やり飲ませようとする。

江原朱美は必死に顔を振った。全身で抗う。けれど両手は背中で拘束され、指一本動かせない。できるのは、身体ごとぶつかって押し返すことだけ――。

だが、あまりにも細い。藤原玄哉を痛めつけるどころか、びくともしない。

「チッ……」

協力する気配すら見せない朱美に、玄哉はとうとう苛立ちを爆発させた。手を振り上げ、頬を左右から容赦なく叩きつける。

ぱちん、ぱちん。

淡い頬が一気に赤く腫れ、口元には血が滲んだ。

それでも朱美は歯を食いしばり、口を閉ざしたまま、氷みたいな目で男を見据える。

――数か...

ログインして続きを読む