第60章

「どうした?」

唐突な声が、二人の言い争いをぴたりと止めた。皆の視線がその声へ吸い寄せられる。黒のオーダーメイドスーツに身を包んだ藤原創が、ゆっくりと歩み寄ってきた。

再びこの男を目にした瞬間、江原朱美は反射的に拳を握りしめていた。――こいつのせいで、最低の下僕に犯されかけた。

それだけじゃない。こいつは何度も何度も、自分を死の縁へ追い立てた。意志が折れていたら、もう何回死んでいたか分からない。

「創! お姉の身体がだんだん良くなってきたって聞いたの。だから、お姉を外に連れて行って日光に当ててあげたいなって。毎日病室に閉じこもってたら、お姉の肌、前よりずっと荒れちゃった。見てると本当...

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