第66章

夜明け前の早朝。藤原創は皺ひとつないスーツに身を包み、空が白む前にもう家を出ていた。

江原幸子は窓辺に立ち、遠ざかる男の背中を見送る。口元の笑みは、もう隠しきれない。

――ようやく、機会が来た。

いま江原朱美は病室に隔離され、「特別保護」の対象になっている。たとえ自分でも、簡単には手出しできない。

だが――あの女は何度も自分を挑発した。

死んでもらわなければならない。

藤原創が車で去ったのを確認すると、幸子は迷いなくメッセージを打ち、藤原玄哉へ送信した。

あとは藤原玄哉が片をつけるだけ。

藤原創が戻ってくる頃には、あの女はもう――死んでいる。

――

病室の中。

江原朱美...

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