第68章

藤原創がいつまでも言葉を返さないのを見て、江原幸子は小さく息を吐いた。頬をかすめたのは、恨みがましい影――そして自嘲。

「考えてみれば当然よね。私が子どもと比べられるわけないもの。だって、あの子はあなたの実の子……そんな苦しい選択、させない」

藤原創はなおも沈黙したまま。静かな瞳の奥に、ふっと波紋が広がる。何を思っているのか、読み取れない。

「創、私……江原家に戻りたいの」

「ここには専門の医療チームがいる。何かあってもウィリアム教授がすぐに方針を出せる」

藤原創は江原幸子の腰を抱き寄せ、淡々と問いかけた。

「ここが居心地悪いのか? どうして急に帰りたくなった」

「最近、身体が...

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