第72章

寒い夜。江原朱美は鉄檻の隅にうずくまり、膝を抱えたまま、がたがたと震えていた。

警備員たちはまるで機械だ。昼も夜も関係なく、交代で病院を見張り続けている。

外の世界が見える位置に移され、病院内の配置や警備の癖まで把握できた。けれど、出られない。結局この狭い檻の中に閉じ込められたまま、自由だけを渇望するしかなかった。

ひゅう、と冷たい風が吹き抜けるたび、身体中の傷がまた刃物でえぐられるように疼く。頭皮が粟立つほどの痛み。刺すような寒さだけじゃない。底のない絶望が、じわじわと胸を満たしていく。

しかも、あの忌々しい悪犬どもが、目をぎらつかせてこちらを見ている。涎まで垂らしているやつもいる...

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