第73章

藤原創は冷ややかに彼女を睨みつけ、隣の席を指さした。

「座れ!」

江原朱美は機械みたいに彼の前まで歩き、ゆっくりソファへ腰を下ろす。胸の奥だけが、落ち着きなくざわついていた。

この男の短気にはもう慣れている。今だって優しいわけじゃない。けれど――殴ってこない。手を出してこない。その「不自然さ」が、かえって朱美の不安を煽った。

同時に、藤原創がリモコンを手に取り、いくつかボタンを押す。するとリビングのカーテンが自動で閉まり、部屋は一気に薄暗くなった。ソファ正面のプロジェクターが点き、壁いっぱいに映像が投影される。

映し出されたのは――巨大なステージ。

十分ほどして、羊の頭を被った司...

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