第76章

江原朱美がもう自分に取り合わないと見るや、江原幸子はふん、と鼻で笑い、淡々と言い放った。

「しゃべりたくないならそれでいいわ。どうせ伝えに来ただけだもの。あなたの命、もう完全にカウントダウンに入ってる。残り少ない人生、せいぜい味わってね」

立ち去る直前、幸子は監視カメラへちらりと視線を投げ、朱美の耳元へ身を寄せて囁く。

「最後の日々だとしても、絶対に楽にはさせないから」

「……出てけ」

朱美は背を向けたまま、歯の隙間から冷たく吐き捨てた。

今すぐこの女を殺してやりたい。

けれど――耐えろ。今は。

扉が閉まる音がした瞬間、朱美の脳裏に、ひどく意地の悪い考えが閃いた。

あの女は...

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