第83章

江原幸子は怒りに任せて部屋を飛び出し、オフィスのドアを乱暴に蹴り開けた。目に飛び込んできたのは、ウィリアム教授が江原朱美の傷口に包帯を巻いている光景。

幸子は氷のような声で叱りつける。

「誰がそんなこと、許したの?」

ウィリアム教授は手を止めず、落ち着き払って答えた。

「藤原さんからは何度も念を押されています。何があっても、心臓移植を滞りなく進めろと。朱美さんの状態はかなり悪い。まずは精密検査が必要です。そのうえで療養計画を立て、手術台に上がれるよう整えなければなりません」

「まだ分からないの? あれ、仮病よ」

幸子は教授の襟元を掴み、顔を近づけて怒鳴りつけた。

——これまで何...

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