第84章

江原朱美は顔を背け、藤原創の説教を聞き流した。

もう何度も説明した。言い尽くした。うんざりするほどに。

煙草が一本燃え尽きると、藤原創は冷ややかに彼女を一瞥し、病室の扉を乱暴に叩きつけて出ていった。

ようやく、耳が静かになる。

朱美は布団の中で身を縮めた。骨も皮膚も、どこもかしこも痛い。ぼんやりと壁の隅を見つめる瞳に、悔しさも、哀願もない。沈黙の底に沈んだ、決意だけが残っていた。

待っているのだ。

檻から抜け出す機会を。すべてを清算する瞬間を。

過去の正しさだの、間違いだの、是非だの、そんなものはもうどうでもいい。

彼女に残った執念は、ただひとつ。

復讐。

藤原創と江原幸...

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