第87章

江原幸子の手にした針は、すでに江原朱美の乳首へと打ち込まれていた。

ちくちくと細かく、けれど鋭い痛みが一斉に弾け、神経をがっちり掴んで離さない。

幸子はさらに一本、細長い銀針を指先でつまむと、ゆっくり朱美の正面へ回り込んだ。

銀色の針先が視界の中で揺れ、骨の髄まで冷えるような寒気が走る。

「もう一度だけ、この世界をよく見ておきなさい! 今日から先、あなたの目に映る色とりどりの世界は――全部、闇に沈むのよ!」

江原朱美の瞳孔が、きゅっと縮む。

いつも耐え、飲み込み、崩さずにいた心の堤が、ついにひび割れた。

汚名を着せられるのも、痛めつけられるのも、身に覚えのない罵声を背負うのも耐...

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