第91章

藤原創たちがすでに立ち去ったのを確認すると、丹生谷智久は足早に病室へ向かった。沈村奏人がその背を追う。

「前にお前に頼んだ、藤原創へ渡す資料。あれ、本当にあいつの手に渡ったのか」

丹生谷智久が眉を寄せて問う。

沈村奏人は慌てて首を振った。

「僕は……藤原さんの書斎に置いただけです。見たかどうかまでは、正直わかりません」

丹生谷智久は答えない。

ここ数日の藤原創の振る舞いを見る限り、十中八九、目を通していない。もし読んでいたなら、あんな態度でいられるはずがない。

我に返ると、丹生谷智久は沈村奏人の肩を軽く叩いた。

「廊下の曲がり角で見張ってくれ。誰か来たら、咳払いで合図しろ」

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