第93章

骨が砕ける嫌な音と同時に、水晶の灰皿が江原朱美の掌へ――容赦なく叩き落とされた。

細く白い指先が、ぐしゃりと潰れる。

折れた骨が皮膚を押し上げ、赤い筋が腕へ伝って流れた。

「――あ゛あ゛あ゛っ!」

朱美は喉が裂けるほど叫び続ける。

十指に走る痛みは心臓へ直結していて、耐えて積み上げてきたものを、いとも簡単に粉々にした。

……もう、無理だ。

骨の髄まで刺さるような痛みが、呼吸も思考も奪っていく。

びっしょりと冷や汗が薄い病衣に染み、朱美の小さな顔は紙みたいに真っ白だった。

全身ががくがく震える。手を引っ込めようとしても、藤原創の指が万力みたいに手首を締め上げ、逃げ場を与えない...

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