第96章

同じ頃――。

江原朱美は特別病室に閉じ込められたまま、丸一晩を過ごしていた。

その夜、彼女は床に横たわり、指一本動かさない。まるで死体だ。

書斎にいる藤原創は、時おり監視カメラの映像へ目をやった。

――そして、夜が明ける。

藤原創は早朝から病院へ向かい、まっすぐ病室の前まで来ると、扉の左右に立つボディガード二人に命じた。

「開けろ」

外の気配を聞き取ったのか、江原朱美は重たい瞼をゆっくり持ち上げる。

扉の向こうへ視線を向け、そこに立つ藤原創を捉えた。

「……時間?」

かすれた声で、そう問いかけた。

特別病室にいる限り、時間の感覚は完全に奪われる。

「そんなに死に急ぎた...

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