第97章

江原朱美が手を上げ、江原幸子の顔へ爪を立てようとした!

太腿を貫く激痛に、反射的に殴り返しそうになる。

「まだ私を殴るつもり?」

江原幸子はナイフを抜いた。ぽた、ぽた、と血が床へ落ちていく。彼女は刃の背で江原朱美の頬を軽く叩き、そのまま自分の頬の傷跡をなぞった。

数日前、江原朱美に引っかかれた場所だ。ほとんど塞がってはいるが、薄紅の線がまだ残っている。

江原幸子の目が冷えた。

そしてもう一度、ナイフを持ち上げ――江原朱美の顔へ、すっと走らせる。

殷い血が頬を伝い落ちた。江原幸子は狂ったように笑い出し、刃先でその顔を指し示しながら、氷の声で言い放つ。

「私の顔を台無しにしたんだ...

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