第7章
澪の視点
午前三時、インターホンが鳴った。
叔母の志都美が先に目を覚ました。玄関の扉を開けると、そこにはずぶ濡れの朋之が立っていた。左目の周りは青黒く腫れ上がり、口元にはまだ乾ききっていない血の跡が残っている。
志都美は動かなかった。
「澪はあんたに会いたくないって」
「頼む」朋之の声は掠れていた。「五分だけでいい」
廊下の突き当たりの明かりが点いた。
私はパジャマ姿のまま、乱れた髪で歩み寄り、志都美の背後から彼を見つめた。七年。この顔を知ってから七年になる――病院の廊下でしゃがみ込んで私を慰めてくれた若い研修医から、今日こうして雨に打たれ、見る影もなく立ち尽くす男に...
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