第8章

 一年後。

 志都美叔母さんの年に一度の健康診断に付き添って、病院に来ていた。待合室の椅子は座り心地が悪く、私はスマホを弄りながら検査が終わるのを待っていた。

「岡山朋之? あの外科医の?」

 ナースステーションの方から、ひそひそ話が聞こえてくる。

「ええ、病院をクビになったらしいわよ」

「まさか。前はあんなに優秀だったじゃない」

「離婚してからすっかり駄目になったみたい。毎日酒浸りで、先月なんて手術中にあわや大惨事ってミスをやらかして。そのまま懲戒解雇よ。今はどこかの小さな診療所で適当に時間をつぶしてるらしいけど、収入なんて以前の十分の一にも届かないんですって」

 私は顔を上...

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