第2章
エイヴリー視点
客船は大西洋を滑るように進んでいるけれど、その微かな船体の揺らぎは、私の渇きを狂おしいほどに掻き立てるだけだった。ベッドの上で寝返りを打ちながら、脳裏にこびりついて離れないのは、ディナーの席でのセバスチャンの視線だ。彼はそこに座り、赤ワインのグラスを揺らしながら、その深い褐色の瞳で私を貪り食おうとするかのように――それでいて、法廷で証人を尋問する弁護士のような冷徹さで見つめていた。
そのあまりの禁欲的な空気に、私は息が詰まりそうだった。
眠れるはずがない。私は薄手のシルクのガウンを羽織り、裸足のままスイートを抜け出した。静かな場所、少しでも頭を冷やせる場所が必要だったのだ。何かに導かれるように、私は最上階にあるプライベート・ライブラリーへと向かった。
そこはマホガニーの家具、革、そして古書の匂いに満ちていた――それはまさに、セバスチャンの匂いだ。室内ではいくつかの壁灯が頼りなく揺らめき、巨大な書架が歪んだ影を落としている。私は部屋の最奥へと歩を進め、冷たい書架に背を預けた。背筋に走るひやりとした感触に、思わず吐息が漏れる。
彼がここにいると想像する。いつも書物を繰っているその細長い指が、私の肌を滑る様子を。あの厳格で低い声が、脚を開けと命じる様を。
そんな妄想が、身体の奥底を焼けるように熱くする。震える手をシルクのネグリジェの下へと滑り込ませた。目を閉じ、指先に湿り気を感じた瞬間、耐え切れずに艶めいた声が漏れた。彼の名を呼び、これは彼の「講義」なのだと、不品行な私を彼が禁忌の方法で矯正しているのだと、夢想しながら。
「エイヴリー」
その声は雷鳴のように、静寂に包まれた図書室に響き渡った。
私は驚愕に全身を震わせ、手はそこにあるまま硬直し、書架にもたれかかるように崩れ落ちそうになる。
セバスチャン・ブラックウッドが陰影の中に佇んでいた。手には一冊の本、金縁の眼鏡が冷ややかな光を反射している。素肌の上にボタンを留めていない白シャツを羽織っているだけで、昏がりの中でも胸元の逞しい筋肉が見て取れた。彼は動揺するどころか……心臓が凍るような余裕さえ漂わせている。
「ブラックウッド……先生」
私は震えながら脚を閉じようとしたが、羞恥と極度の興奮で身体がいうことを聞かない。
「だ、誰もいないと……」
「私の図書室で、私の領分で、このような真似を?」
彼はゆっくりとした、だが確実な足取りで近づいてくる。一歩ごとに教授としての威厳が重くのしかかり、私の呼吸を奪っていく。
「これが夜中に抜け出した目的か? そのような不健全な妄想に耽るために?」
彼は目の前で立ち止まり、ウイスキーとシダーウッドの香りが鼻をくすぐるほどの距離まで迫った。視線が私の乱れたガウンを舐めるように下り、最後には――自白したも同然の私の指先に注がれた。
「見せてみなさい。私の学生が課外時間に何を学んでいるのかを」
彼は驚くべき力で手首を掴み、濡れそぼった手を無理やり持ち上げた。指先に絡みつく、激しい渇望の証である透明な雫を目にした瞬間、金縁眼鏡の奥にある瞳が底なしの闇へと沈んだ。全てを飲み込むブラックホールのように。
私は恐怖と戦慄に身を縮こまらせた。氷のような裁判官の口調で叱責され、過ちを犯した子供のように部屋へ追い返されると思っていたのだ。だが、彼は私の理性を瞬時に吹き飛ばす行動に出た――頭を垂れると、ゆっくりと、丹念に私の指の間を舐め上げたのだ。まるで、世にも稀な甘露を味わうかのように。
その瞬間、思考回路が完全に焼き切れた。その感触は、想像よりも百倍も狂気じみていた。
「甘いな」
彼は獣じみた独占欲を露わにし、不明瞭な声で低く唸った。手首を乱暴に放り出すと、大きな掌で私の腰骨を砕けんばかりに掴む。そのまま身体を持ち上げ、重厚なマホガニーの書架に荒々しく押し付けた。
「どうやら、今までの『指導』は優しすぎたらしいな、エイヴリー」
熱い吐息が首筋にかかり、痺れるような快感が走る。
「君に必要なのは、もっと直接的で、もっと奥深くまで刻み込むような……教育だ」 彼の手が無防備なシルクのガウンの中に侵入し、すでに蜜で濡れそぼった聖域を的確に捉えた。分厚く熱い掌、そして長年の執筆でできたペンダコが、私の敏感な肌を無慈悲に擦り上げる。
「目を開けて私を見ろ、エイヴリー」
その声には法学部教授特有の、絶対的な権威と疑いようのない命令が宿っていた。
「私の監視下で、その『課題』を遂行しろ。君が私のためだけに濡れていく様を、つぶさに観察させてもらう」
私は彼の肩にしがみつくしかなかった。爪がシャツ越しの硬い背筋に食い込む。彼の指は強引に熱い襞をかき分けて、充血して硬くなったクリトリスを直接押し潰しながら、極めて緩慢に、けれど力強く円を描き始めた。
「んっ……先生……ッ、セバスチャン……」
息もできず、思考もまとまらない。彼の指先の下で、狂ったように腰をくねらせることしかできない。
「目を閉じるな」
もう一方の手が私の顎を掴み、欲望と支配欲に満ちたその瞳を直視させる。
「この感覚を刻み込め、エイヴリー。誰が君を狂わせているのかを記憶するんだ。君の溢れ出る蜜も、その悲鳴も、今この瞬間からすべて私の管理下にある」
彼の指の動きが加速し、二本の指が痛みを感じるほど締まりきった最奥へと突き刺さる。私は裏返った悲鳴を上げ、後頭部を書架に打ち付けた。それでも彼は容赦することなく、さらなる激しさで私を責め立てる。熱く濡れた肉へ指が出入りするたび、粘り気のある銀色の糸が引かれていく。
「きつすぎる」
彼は低く唸り、その眼差しには狂気じみた貪欲さが揺らめいていた。
「この瞬間のために、今まで自分を清廉に保ってきたのか? 私が最初の開拓者となるために」
