紹介
親友の父親、セバスチャン・ブラックウッド。ハーバード大学の法学教授で、成熟していて厳格で威厳がある。彼は私の憧れだった。
これが間違っていることは分かっている。でも彼が私を見るとき、その眼差しに心が乱れる。
私は彼の「いい子」でいたくない。
30日間の海辺での休暇。彼に知ってもらいたい、私はもう子供じゃないと。
セバスチャン、あなたは私をどう見ているの?
チャプター 1
エイヴリー視点
興奮のあまり、息が止まりそうだ。荷物はもう千回は確認したから、忘れ物なんてあるはずがない。
私は今、窓辺に立ち、親友と、その狂おしいほど色っぽい父親の到着を焦がれるように待っている。物心がついてからというもの、私はセバスチャン・ブラックウッドにどうしようもないほど恋焦がれているのだ。
セバスチャンとミアが近所に越してきたのは、私が小学四年生の時だった。それ以来、私たちはずっと親友同士だ。彼はハーバード・ロー・スクールの教授を務めている。キャンパスを歩くだけで学生たちが思わず息を呑むような、伝説的な存在。博識で理知的、おまけにブラックウッド家の莫大な資産を管理する当主でもある。毎年夏になると、彼らは海辺にある一族の屋敷で一ヶ月の休暇を過ごすのが習わしだ。
セバスチャンはかつて約束してくれた――私が十八歳になったら、一緒に連れて行ってくれると。
そして先月、私はついにその十八歳を迎えた。
この日のために、私は禁欲的な修道女のように青春時代を過ごしてきた。高校の幼稚な男子たちには微塵も魅力を感じなかった。だって私には、セバスチャンという絶対的な基準があったから。教壇に立つ彼の冷静沈着な振る舞い、首元まできちんと留められたシャツのボタン、時折眼鏡を押し上げる際に見えるしなやかな指先……。他の男など、彼の前では霞んでしまう。
あまりにも長く待ちすぎた。でも、これからの三十日間で彼に思い知らせてやるつもりだ。私はもう、ミアの後ろをついて回るだけの小娘じゃないってことを。
チャイムが鳴った瞬間、心臓が口から飛び出しそうになった。深呼吸をして心を落ち着かせると、私はバッグを掴んで階段を駆け下りた。
開け放たれた玄関先で、セバスチャン・ブラックウッドが両親と談笑している。私は階段の途中で足を止め、一瞬、魂を奪われたように立ち尽くした。
今日の彼は、いつものトレードマークであるスーツ姿ではない。代わりに身に纏っているのは、体にフィットした漆黒のTシャツだ。そのシンプルな布地の下には、厚い胸板と逞しい二の腕が盛り上がり、どんな女でも見惚れそうな肉体美を露わにしている。短く整えられた黒髪は完璧にセットされ、金縁眼鏡の奥にあるブラウンの瞳は、古井戸のように深く、静かに私を射抜いた。
「責任を持って、彼女の安全は私が保証します」
セバスチャンは私の両親に向かってそう告げた。低く磁力を帯びたようなその声には、有無を言わせぬ威厳が漂っていた。
「私のプライベートな連絡先はご存知ですね。いつでも連絡してください」
私は精一杯の愛想笑いを浮かべたけれど、膝は微かに震えていた。その直後、ミアが飛び込んできて私に強烈なハグを見舞った。
「間違いなく史上最高の夏になるよ!」
彼女は興奮を隠しきれない様子で叫んだ。
両親に別れを告げ、桟橋へと向かう。セバスチャンが自然な動作で私の重いボストンバッグを受け取ってくれた。その時、彼の手のひらが不意に私の肩を掠める。一瞬、微弱な電流が背筋を駆け抜け、ブラジャーの下で乳首がツンと尖った。頬が火照るのを感じる。
今回の旅のためにセバスチャンが用意したのは、窮屈な飛行機の座席ではない。ブラックウッド家が所有する超豪華客船のプライベート・スイートだ。
埠頭に着く頃には陽も落ちかけていた。港の照明に照らされた巨大な客船は、まるで光り輝く白銀の城塞のようだ。これから乗り込むその威容に、私はただ呆然と見上げることしかできない。ミアは笑い声を上げながらタラップへと走っていったが、セバスチャンは紳士的にその場に留まり、私に手を差し伸べてくれた。
彼の大きな掌が私の手を包み込む。そこから伝わる熱で、火傷しそうだ。
「興奮しているようだね、エイヴリー」
私を見つめるその瞳の奥に、読み取れない何かが揺らめいた。
「すごく……楽しみです」
どうにか声を絞り出して答える。でも本当は、彼の視線だけで下着の中はもうぐしょ濡れだった。
彼は手を離そうとしなかった。それどころか、親指の腹で私の掌をゆっくりと愛撫しはじめる。その視線は私の半開きの唇をじっくりと舐めるように這い、最後に瞳へと戻ってきた。彼は誰にも見せないような、野性的で秘めやかな笑みを浮かべ、私の耳元で低く囁いた。
「僕もこの休暇を楽しみにしていたんだ、エイヴリー。二人きりでやらなければならない『課外授業』が、山ほどあるからね」
彼の吐息が熱く首筋にかかり、私の喉からは情けないほど甘いあえぎ声が漏れた。彼は片眉を器用に上げてみせたが、それ以上は何も言わず、ただ顎をしゃくって「ついておいで」と合図しただけだった。
客船の中に足を踏み入れた瞬間、私の頭を占めたのはたった一つの思考だけ。
神様。この高潔で冷徹な教授に飛びかからないで、どうやってこの船での数日間を耐えればいいの?
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家族の縁を切った日、兄たちはすべてを失った
公平を期すという名目のもと、兄たちは彼女からリソースを根こそぎ奪い、その尊厳を踏みにじってまで、運転手の娘を支えた。
彼女は兄たちのためにすべてを捧げたというのに、家を追い出され、無残に死んだ。
生まれ変わった今、彼女は人助けの精神などかなぐり捨てた。許さない、和解しない。あなたたちはあなたたちで固まっていればいい。私は一人、輝くだけ。
兄たちは皆、彼女がただ意地を張っているだけだと思っていた。三日もすれば泣きついて戻ってくるだろうと高を括っていたのだ。
だが三日経ち、また三日経っても彼女は戻らない。兄たちは次第に焦り始めた。
長兄:「なぜ最近、こんなに体調が悪いんだ?」――彼女がもう滋養強壮剤を届けてくれないからだ。
次兄:「会社のファイアウォールは、なぜこうも問題ばかり起こす?」――彼女がメンテナンスに来なくなったからだ。
三兄:「新薬の開発が遅々として進まないのはなぜだ?」――彼女が治験をしなくなったからだ。
四兄:「どうしてこんなにつまらない脚本しか上がってこない?」――彼女がもう執筆しないからだ。
五兄:「この義肢は、なぜこんなに出来が悪いんだ?」――彼女が製作をやめたからだ。
六兄:「なぜチームが負けた?」――彼女が脱退したからだ。
兄たちは地に膝をついて許しを請うた。「戻ってきてくれ。俺たちこそが、血を分けた本当の家族じゃないか」
彼女は絶縁状を兄たちの顔に叩きつけ、冷ややかに笑った。
「車が壁にぶつかってから、ようやくハンドルを切ることを覚えたのね。株が上がってから、ようやく買うことを覚え、罪を犯して判決が下ってから、ようやく悔い改めることを覚えた。残念だけど、私は――許さない!」
地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない
十八年間、空気のように扱われ、誘拐事件の際にも迷わず切り捨てられた私。
「強さ」という名の言い訳で死の淵に追いやられた私は、地獄の果てで生き延びた。
そして今、全国民が見守る超人気リアリティショーの舞台に、私は「かつての復讐者」として舞い戻る。
家族が偽りの善人面を振りまく中、彼らの仮面を一枚ずつ剥ぎ取っていく最高のショウタイム。
そんな私を面白がり、盤面をひっくり返す男がいた。冷徹なるF1チャンピオン。彼だけは、私の冷酷な正義を肯定し、その権力で私を囲い込む。
さあ、復讐劇の始まりよ。私を「可哀想な犠牲者」だと思っていた報い、その身に刻ませてあげる。
天才デザイナーの私と三つ子を、大富豪は取り戻したい
屈辱に塗れ、身一つで夜逃げするように国を去った私は、その後に彼の「三つ子」を身ごもっていることに気づく。
――6年後。
私は世界に名を馳せる天才デザイナーとなり、奪われたすべてを取り戻すために帰国した。
しかし、悪辣な嘘に目を曇らされた知暁は、私を激しく憎み、「仇敵」として冷酷に立ちはだかる。
やがてすべての真実が白日の下に晒された時、彼は己の過ちに絶望し、プライドを捨てて泣きながら私に許しを乞うた。
だが、傷つけられた私の心はもう戻らない。私は彼の懇願を、冷徹に突き放した。
――もう遅いわ。あなたを一生、許すつもりはない。
そう誓ったはずの私だったが、予想だにしない誤算があった。
私たちが産んだ愛らしい三つ子たちが、今さら戻りたいと泣く父親の、まさかの最強の味方として動き出したのだから。













