第8章
神宮寺凌が病室のベッドの前で跪いてから、もう三時間が経っていた。
薬を交換しに来た看護師がその光景を目にして、手にしたトレイを落としそうになるほど驚いた。
「あの、そんな……」
「大丈夫です」
神宮寺凌の声は静かだった。
「お手数をおかけします」
看護師は気まずそうに私の点滴を交換すると、何度も振り返りながら慌ただしく去っていった。
夕日がブラインドの隙間から差し込み、床に縞模様の光と影を落とし、病室全体を橙色に染めている。
私は床に跪く神宮寺凌を見つめた。彼の瞳に宿る、今まで見たことのない光を。
それは絶望、後悔、そして苦痛。
「膝……」
私はようやく...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
縮小
拡大
