第5章
洋佑視点
ベラージオ・ホテル、ペントハウスのバルコニー。手すりに寄りかかり、俺はただ立ち尽くしていた。
ラスベガスのネオンが夜闇に煌めいているが、意識はそこに向かない。ここはユリカがずっと来たがっていた場所だ——婚約した時、連れて行くと約束した場所でもある。
美保子とここに来てもう十日が経つが、あいつからは何の反応もない。
いつもなら、俺が東京を離れた翌日には電話の嵐が始まるはずだ。どこにいるのか、誰といるのか、いつ帰るのかと。
だが今回は、何もない。メール一通すら届かない。
あいつもようやく、身の程をわきまえるようになったのか?
「あなた、パーティーにはこの赤なん...
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