第103章 傷つけたのはあなたなのか?

車が急ブレーキで止まった。ハンドルを握る幸尾は顔をしかめ、どうすべきか分からないまま、後部座席で目を閉じている龍崎燈真へ視線を投げる。

「龍崎様……いま、どうします?」

「進め」

幸尾がアクセルを踏み込む。だが、鈴村茜は退く気配すら見せなかった。

「龍崎燈真……降りて! 聞きたいことがあるの……降りて……!」

絶望に染まった声で、彼女は車体を叩く。ばしん、ばしん、と何度も。

「佳澄を連れていったの、あなたでしょ?」

「龍崎燈真……答えて……答えてよ……あなたなの?!」

車は前へ出られない。外の声は耳障りなほど騒がしく、神経を逆撫でする。

龍崎燈真が苛立たしげに瞼を上げた。

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