第108章 もう嘘をつくな!

たちまち、胸の奥で渦巻いていた怨みも嫉妬も、すべてが力に変わった。

彼女はそのまま産科の検診を受けるつもりなどなく、森塚香織の段取りどおりに動き出す。

廊下は真っ暗だった。

鈴村茜は腹をかばいながら、壁に手をつき、ゆっくりと病室を出る。

時刻はもう夜九時。

高宮芽美は一度も顔を出していない。

今日は何か急用でもあるのだろう。

茜は一歩、また一歩と、トイレのほうへ向かった。

階段の踊り場――角を曲がった先で、見覚えのある背中が一瞬だけ視界を横切った。

心臓が跳ねる。

全身がかっと熱くなった。

茜は奥歯を噛みしめ、足を速める。

「龍崎さん……かなりの睡眠不足です。普段から...

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