第14章 龍崎様が好き?

そんなふうに優しく名を呼ばれて、鈴村茜はかえって途方に暮れた。

彼がこんな声で自分を呼ぶのは、恋人だった頃だけだったはずだ。

いまの彼の瞳にあるのは、憎しみだけ。

きっと……聞き間違いだ。

「龍崎様……大丈夫ですか?」

龍崎燈真は眉を寄せ、ぼんやりと目を開けた。

「いま、酔い覚ましの……何か作ってきます」

立ち上がった瞬間、手首を掴まれる。ぐい、と引き戻され、距離が一気に詰まった。

間近に見えたのは、彼の長い睫毛。

薄い唇がわずかに開き、低く何かを呟く。けれど、何を言っているのか聞き取れない。

「龍崎様、欲しいものがあるなら……もっと大きい声で……」

「……よく、聞こえ...

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