第45章 連れて消えろ

もちろん、茜だってここを出て行きたかった……けれど佳澄は、いつでもどこでも幸尾の監視下にある。連れて逃げるなんて、できるはずがなかった。

幸尾はすぐに鞭を一本見つけてきて、小野莉子に手渡した。

小野莉子は今にも「やってやる」と言わんばかりで、隣の森塚香織はくすくす笑いが止まらない。鈴村茜が血まみれになって泣き叫ぶ光景を、もう待ちきれない――そんな顔だ。

そのときだった。

玄関のほうから、ぷっ、と短いクラクションが鳴った。

小野莉子と森塚香織の表情が、同時に固まる。

誰だってわかる。龍崎燈真が戻ってきたのだ。

九日間、中区别墅を空けていた龍崎燈真が、こんなタイミングで帰宅するなん...

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