第59章 婚約披露宴のスキャンダル(3)

温井千景は、たった一人でその場に立っていた。

上原知美の視線は刃みたいに鋭い。

「千景! いい加減にしなさい! こんなクソ女に恥をかかされて、みんなの前で顔も上げられなくされたのに……それでも庇う気? 何のためよ!」

「茜は……俺の人間だ……俺が、子どもの父親だ……どんなことがあっても守る。……それに、龍崎燈真に判断させるべきだ」

「――っ」

乾いた音が響いた。

ぱんっ。

上原知美の平手が、温井千景の頬を容赦なく打ち据えた。

周りが一斉に息を呑む。誰も動けない。

今日は温井千景の婚約披露宴だ。主役であるはずの男が婚約者に裏切られ、そのうえ母親に衆人環視で頬を張られる――。

...

ログインして続きを読む