第61章 子守りする龍崎様(1)

高宮芽美が呆然としている背後から、ふいに丁寧な声がかかった。

「高宮さん……どうして入口で立ってるんですか? 森塚さん、事務所にいないんですか?」

その瞬間、高宮芽美の顔から血の気が引いた。

森塚香織がすぐに姿を現す。笑っているのに目が笑っていない、薄い笑みを貼りつけたまま言った。

「……あら、高宮さん。もう帰ったんじゃなかったの? どうして戻ってきたの」

「わ、私……」

高宮芽美は額の冷や汗を拭い、喉を鳴らす。

「……契約を……解除したくて……」

「解除?」

森塚香織の笑みが、ゆっくり冷えていく。濃いメイクの顔がぐっと近づいた。

「さっき、外で全部聞いてたんでしょ? そ...

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