第68章 私のお父さんなの?

黒崎由良は、ふっと笑った。

それ以上、この話題を引っ張ることもしない。

車はほどなくして停車し、D市第一病院に着いた。鈴村茜は札束を抱えたまま、黒崎由良に恭しく腰を折る。そして一枚抜き取り、差し出した。

「……ありがとうございます」

黒崎由良は受け取らない。薄く笑って、からかうように言う。

「俺を侮辱してる?」

「ち、違います……黒崎社長、何を……。今夜助けていただいて、しかも送っていただいて……それに、お洋服が……」

茜は腕の中のスーツのジャケットへ目を落とした。龍崎燈真の赤ワインが染み込み、高価そうな生地は台無しだ。罪悪感に視線を落とし、声を小さくする。

「黒崎社長……こ...

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