第69章 まったく知らない

鈴村佳澄は、自分の「パパ」が誰なのかを知ってからというもの、見違えるほど明るくなった。いちばん大事にしているクマのぬいぐるみを引っぱり出して、ぎゅっと胸に抱きしめたまま離さない。

「これ、パパがくれたの……」

佳澄はそう言って、鈴村茜に見せる。

「そのときね、佳澄、大きくなったなって言ってくれたの……」

「それでね、今年のお誕生日には、ピンクの、すっごく大きいクマもくれるって……」

そこまで言ったところで、佳澄はふう、と小さく息を吐いた。目尻に涙が滲む。

「ママ……パパ……起きるかな? 今年、佳澄と一緒にお誕生日できる?」

佳澄は涙をこらえきれないまま、唇を震わせた。

「佳澄...

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