第70章 本当にあなたが憎い

鈴村茜は、龍崎燈真のあの言葉を信じまいと決めていた。

けれど――……。

心のどこかが、じわりと揺らいでしまったのも事実だった。

燈真は言った。

証拠がある、と。

証拠――。

眉間が痛いほどに寄る。

茜は、温井千景の言葉だけを信じてきた。親子鑑定なんて、一度もしていない。

もしかして……。

病室へ戻る廊下で、茜はそっと鈴村佳澄を見た。

佳澄はまつ毛を伏せ、何も言わない。表情には出していなくても――悲しんでいるのが、母親の茜にはわかってしまう。

病室に入っても、佳澄は黙ったまま、行儀よくベッドに腰かけた。

茜は洗面器に湯を汲み、佳澄の足を洗ってやる。身体も軽く拭いて、布団...

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