第75章 本当にかわいそうだ

「鈴村茜、外、雨だぞ」

それでも鈴村茜は一歩も立ち止まらなかった。今すぐにでも、ここから消えてしまいたい――そんな勢いで。

龍崎燈真はベッドの背にもたれ、腹の底に溜まった苛立ちのせいで胸が大きく上下していた。指先で煙草を一本抜き取る。

外では、豪雨が途切れない。

その雨みたいに、思考もぐちゃぐちゃだった。

煙がふわりと散った向こうにあるのは、憂いを帯びた一対の目。そこには憎しみと痛みが絡み合い、簡単にはほどけない色を落としている。

病室の中は、笑い声で満ちていた。

高宮芽美はケーキの箱を抱え、子どもみたいに浮かれている。

寛人さんに選ばれ、専属モデルになったのだ。モデルとして...

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