第78章 俺を愛したことがないのか

皆が囃し立て、鈴村茜に向かって「早くしろ」と、龍崎燈真を喜ばせろとせっついた。

茜はどうしようもなく、苦い笑みを浮かべる。

――どうして、私が龍崎燈真を喜ばせなきゃいけないの。

――どうして、こいつらの言うことを聞かなきゃいけないの。

金があるってだけで、命令されたら何でも従えって? そんな筋合い、どこにもない。

鈴村茜はきっぱりと顔を背け、扉を開けて外へ出た。

「おいおい!」

「待てよ! 何様だよ! たかが給仕が、客に顔色見せる気か?」

「調子に乗りやがって……」

個室の中で、商売人の大物どもが不満げにぶつぶつ言う。

そのうちの一人が茜を追って廊下へ出てきて、行く手を塞...

ログインして続きを読む