第91章 つわりではない

そして彼は、それを手に取ったまま、じっくりと確かめるように眺めていた。

緊張と後ろめたさで胸が詰まり、鈴村茜はおそるおそる視線を上げる。男の冷えた横顔に目が吸い寄せられた瞬間、喉元を誰かに掴まれたみたいに息が止まった。

男は長い睫毛を伏せ、静かに薬の箱を見つめている。白くきめ細かな肌。整いすぎた顔立ちが、見ているだけで心臓に悪い。

「……それ、返してください。お願いします」

そう言って手を伸ばす。だが相手は、すっと避けた。

龍崎燈真が薬箱を見下ろしたまま、嘲るように口元を歪める。

「妊娠したのか?」

声が、氷みたいに冷たい。

「わ……私は……これ、ビタミンで……」

鈴村茜は...

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